読書感想「有限と微小のパン」・・・

ついに森博嗣のS&Mシリーズも最終巻になってしまった。
約3か月間で10冊(4500ページ以上)は早いのか?遅いのか?
まあ、のめり込んでハマった作品だっただけに、実に感慨深い。


内容としては、最終巻とあって十分なボリューム(約900ページ)、天才中の天才・真賀田四季の再登場で緊張感のある作品になってると思います。
かしまし娘西之園萌絵、牧野洋子、反町愛の3人が出くわす事件?の裏に真賀田四季の存在。
そこに駆けつける犀川創平。
個人的に喜多北斗も出してほしかったな。
戯言シリーズみたいに全員登場!!とまでは行かなくても儀同だしたんだから。
ってか、この事件のトリック以上に謎になっている真賀田四季がどこにいるのかという問題。
こいつがラストで明かされるが、かなり予想外の展開だった。
トリックが賛否両論な感じなだけに、こいつの居場所で一気にさすがは森先生って思わせたよね。
ってか、「今はもうない」もそうだけど、伏線の張り方が素晴らしい。
シリーズ通して一つの作品になってるね。


このシリーズ自体はこれで一応一区切りだが、今後読む予定の瀬在丸紅子のVシリーズの後に、この2つのシリーズがつながったGシリーズがあり、そこでこの二人も再登場してくる。
そして真賀田四季の幼少時代の物語が語られる四季シリーズもあり、まだまだ楽しみはいっぱいだ。
ぜひ全部読まなくては。


お気に入りの台詞
理「僕は、天才と呼ばれる人たちを何人か知ってます。実際に会って話もしましたけど、よくわからない。
  話をしても、その才能がどこからきたものなのか、そして、今どこにあるのかさえ、まったくわかりませんね。
  だけど、彼らに共通することが一つありました」
萌「共通すること?」
理「混ざっていない」
萌「混ざって……、いない?」
理「そうです。人格だけじゃない、すべての概念、価値観が混ざっていないのです。
  善と悪、正と偽、明と暗、。人は普通、これらの両極の概念の狭間にあって、自分の位置を探そうとします。
  自分の居場所は一つだと信じ、中庸を求め、妥協する。けれど、彼ら天才はそれをしない。
  両極に同時に存在することが可能だからです」


犀「通常、不可解な行為にも、必ず何かの意味がある、という前提で推理が行われる。
  君の仮説にしても、ガラスが割られた理由、腕が残されていた理由に、意味を見つけようとしている。
  それが間違いかもしれない。そもそも、意味はないかもしれない。そもそも、意味はない。
  意味がないことを目的に、行われた行為なんだ、と考える。そうしてみれば、不思議なことは何一つない」


萌「はい……、非科学的なのが、私には驚異的です」
犀「違う。非科学的であれば、それは観測が間違っているだけだ。驚嘆する理由などない」
犀「科学的な知識が不足していて、驚くことはある。しかし、それは非科学とは言わない」


『一瞬の大人の表情だ。おそらく、何かをあきらめる瞬間の繰り返し……
 その蓄積が、大人になることと同義だからだ
 そうして、意味を切り放して、どんどん無感情になっていくことが、すなわち、死に近づく儀式なのだから……』


犀「地球の円周は、ちょうど4万キロメートル。何故なら、1メートルの定義が、地球の円周の4万分の1だったから」


四「先生……。私、最近いろいろな矛盾を受け入れていますのよ。不思議なくらい、これが素敵なのです。
  宇宙の起源のように、これが綺麗なの」
犀「よくわかりません」
四「そう……、それが、最後の言葉に相応しい」
犀「最後の言葉?」
四「その言葉こそ、人類の墓標に刻まれるべき一言です。
  神様、よくわかりませんでした……ってね


犀「ひょっとしたら……、煙草が吸えるか、吸えないかの違い。
  それくらいしか、現実と虚構の差はないのかもしれない。」



今日の独り言
ノエインのDVD-BOX欲しいなぁ。でも3万は高過ぎ(笑)」