読書感想「流れ星が消えないうちに」・・・

流れ星が消えないうちに (新潮文庫)

流れ星が消えないうちに (新潮文庫)


個人的ラノベランキング1位の作家:橋本紡が2年前に書いた恋愛小説を文庫化した作品です。
新潮文庫100選に選ばれていて、どんな感じなのかと前々から思ってたので読んでみました。


まあ、内容は後にして解説の部分でこんなことが書いてありました。
「橋本さんはずっと「歩き出す瞬間」を描き続けている作家だと、僕は思うのだ。
歩きつづける途中の姿ではない。
いったん立ち止まってしまい、時には打ちひしがれて倒れこんでしまいながらも、立ち上がって、前を向いて、再び歩き出す、その一歩を踏み出す瞬間を――。
言い換えれば、それは終わりと始まり、喪失と再生を描くことでもある。」


なるほどーって感じです。
確かにこれを読んだとき、なんかその後の展開がどっと頭の中に描かれる感じがしました。
よくある恋愛小説ってカップルになれた、とか最後は別れた、といった結果を最後に持ってきてハッピーエンド(ハッピーとは限らないけど)になるけど、この作者はスタートラインをクライマックスに持ってくる。
その結果はその読者それぞれに委ねられることになる。
この最後まで説明するようなミステリー小説的展開じゃないのが非常に面白い。
半分の月がのぼる空」の時もこの手法は該当すると思う。
クライマックス後、どれだけの時を一緒に過ごせたかはわからないけど、それを信じて未来を生きる二人がなんともいえない作品です(ネタバレ?)。
あとサッカーや野球ネタの話がちょくちょくあり、それも面白かった。
(ミランカフーとか、FC東京の石川とか、オリックスの清原とか、リトル松井とか)


この作品を漫画で例えるならば、「イエスタデイをうたって」のリクオ・シナコ・シナコの幼馴染の三角関係かなと思います。


死んだ人を忘れることは出来ない。大切な人ならなおさら。
この違いとしては亡くなった人はそのとき女性と手をつないでなくなっていたということ。
でも、彼(加持)がそんなことをするとは思えない彼女(奈緒子)は2年たった今でも彼とそのとき近くにいた彼女のことが忘れられないでいた。
その後付き合っている彼氏(巧)は加持の親友。
そんな巧みは・・・
という感じにまあいわゆる三角関係。
こてこてのべたべたな恋愛小説なんだけど、読んでいくうちに引き込まれていく三人それぞれの視点と関係性。
そして同時に進行していく奈緒子の家族での事件。
最後に奈緒子が歩んでいく道とは・・・
半月が面白いと思った方はぜひこちらも読んでみる事をすすめますね。
話の奥の核の部分で二つの作品が繋がり、感動できると思います。
個人的に加持が奈緒子に告白するシーンは反則過ぎる!!
あれでOKしない女性はいないぜ!!
あと、奈緒子のお父さんのキャラがいい。
少女マンガを読み漁る51歳って・・・


ただ、自分に恋愛小説は合わないなぁ。
なんかもう木っ恥ずかしくなっちまうぜ。


お気に入りの台詞
「人間ってさ、川嶋が言うように、誰かに頼らないと生きられないんだよな。俺もちゃんとわかってたんだ、そういうの。
 だけど、ひとりで生きられるようにならなきゃいけないとも思ってる。
 でないと、結局、ただもたれ合うだけになっちまうだろう。それじゃ駄目なんだ。
 ちゃんとひとりで立てる人間同士が、それをわかった上でもたれ合うからこそ、意味が生まれるんだ」


「立っている場所を変えることによって、見えるものが違ってくる。そういうのが本当に大切なことだって、ようやく気付いたんだ」


「・・・
 玄関というのは、人が入ってくるところだって。そして人が出ていくところだって。
 それね、わたし、ずっと考えてたんだ。
 つまり玄関は人がとどまるところじゃないんだよね。
 ここに来た人は、出ていくか、入ってくるか、そのどちらかなんだよ」


「男の恋は名前をつけて保存 女の恋は上書き保存」


今日の独り言
「ちょっと星について興味を持ってきたですよ。」