読書感想「まどろみ消去」・・・

いったんS&Mシリーズから離れて短編集を読もうとこっちにやってきました。


感想としてはやはり短編集の完成度では乙一に分があるな。
あそこまでの完成度&感動はそうそうご対面できない・・・


長編だったS&Mシリーズはすべてを語らず、読者に考えさせるというポイントが実に面白いのだが、短編であるがゆえにそういった部分が少なく、よくわからないという結論になることが多かった。
ただ、「真夜中の悲鳴」「やさしい恋人へ僕から」「誰もいなくなった」「悩める刑事」「キシマ先生の静かな生活」は面白かった。
乙一とは一味違った面白さを味わえた気がする。
作品の中に隠れている「読者への訴え」が垣間見る瞬間が実に素敵だ。
それと「キシマ先生の静かな生活」のような理系的な視点が素敵だ。
『いつから、僕は研究者をやめたのだろう?
 一日中、たった一つの微分方程式を睨んでいた、あの素敵な時間は、どこへ行ってしまったのだろう?
 キシマ先生と話した、あの壮大な、純粋な、綺麗な、解析モデルは、今は誰かが考えているのだろうか?
 世界のどこかで、僕よりも若い誰かが、同じことを悩んでいるのだろうか……。もしそうなら、僕は、その人が羨ましい。』



「有限と微笑のパン」を読み終えたら短編集第2弾「地球儀のスライス」を読んでみようかな。


今日の独り言
「おばあちゃんに裸で電話してる姿を目撃されたらそりゃあへこむわなぁw」